朝5時前、少し薄暗いおかげ横丁を歩きました。青みがかった空気、閉まったままの店々。内宮近くの宿に泊まった朝の、不思議な時間です。
伊勢神宮の内宮は毎朝5時に開門します。今回は開門と同時の早朝参拝で、御正宮から荒祭宮、風日祈宮までを一巡りしました。ご利益や見どころとあわせて、早朝の内宮の姿をお伝えします。
伊勢神宮内宮(皇大神宮)とは?
伊勢神宮は、内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)を中心とする125社の総称。正式名称は「神宮」です。
内宮の御祭神は、皇室の御祖神であり日本の総氏神である天照大御神。約2000年前、皇女・倭姫命がこの地を御鎮座の地と定めたと伝わります。内宮は五十鈴川のほとりに鎮まり、正宮と十所の別宮、数多くの宮社からなります。
参拝は「外宮から内宮へ」が古くからの習わしです。
内宮のご利益は?
天照大御神を祀る内宮は、開運、国家安泰、五穀豊穣など、あらゆる祈りの源とされる場所。ただし正宮は、個人のお願いごとではなく、日々の感謝を伝える場所と言われます。
個人のお願いごとは、別宮の荒祭宮へ。この参拝の作法も内宮ならではです(詳しくは後述します)。
朝5時、開門と同時に宇治橋を渡る
宿を出たのは5時前。誰もいないおかげ横丁を抜けていきます。静まり返った石畳の通りは、前日昼間とは別の顔。猫がのんびりと歩いていました。
宇治橋の前に着いて驚きました。同じ早朝参拝の人たちが、すでにたくさん集まっています。開門と同時に、皆しずしずと橋を渡る列に混じりました。
長い参道、敷き詰められた玉砂利の音の中を進みます。足元から伝わる振動を全身で味わう時間。神苑の緑、立ち並ぶ杉の巨木、その先へ続く石段。歩くほどに、心身が整っていく感覚があります。
五十鈴川御手洗場
参道の途中、五十鈴川の御手洗場へ。川の水で直接手を清める、内宮ならではの場所です。
朝の川面は静かで、水は澄み、すぐそばの岩にサギが一羽とまっていました。
御正宮 皇大神宮へ
御正宮の石段の下から先は撮影禁止。皆、石段の下で写真を撮ってから、居住まいを正して上がっていきます。
お参りをすると、すっと風が吹き、白い御簾がふわりと浮かびました。
御正宮の前の空間には、何もありません。ただ受け入れられて、ただそこにある。ほかの意味を持たない場所。これが究極の聖域の姿だと感じました。
荒祭宮 個人のお願いごとはこちらへ
御正宮から荒祭宮へは、石段を下り、また登っていく道。木々の間を抜けるこの道そのものが、とても気持ちの良い空間です。
荒祭宮は、内宮の別宮のなかで第一に位置づけられるお宮。御祭神は天照大御神の荒御魂です。荒御魂は、神様の活動的で力強いおはたらきの現れとされ、「日々の感謝は御正宮へ、個人のお願いごとは荒祭宮へ」と言われるのはこのためとされます。
風日祈宮 風の抜ける別宮
荒祭宮から風日祈宮へ。島路川に架かる風日祈宮橋を渡った先に鎮まります。
御祭神は、風雨を司る級長津彦命と級長戸辺命。鎌倉時代の元寇の際に神風を吹かせて国難を救ったと伝えられ、風社から別宮へと格上げされたお宮です。
太陽の光がさす荒祭宮との違いを、はっきり感じます。ここは、すっと風の抜ける場所でした。
御朱印と神宮暦
参拝後、神楽殿で御朱印をいただきました。あわせて、神宮司庁の頒布する神宮暦も。暦注から農事まで載る、昔ながらの実用の暦です。
小さな失敗がひとつ。自分の分とは別に書き置きの御朱印をお願いしたところ、御神職から一言、「お忘れになったのですか?」と聞かれました。他の神社では聞かれたことのない問いかけです。御朱印は参拝の証。その考え方が、あの一言に表れていました。
お守りは今回、瀧原宮でいただいたものだけにしました。
帰り道の赤福本店
一巡りして、およそ1時間半。おかげ横丁まで戻ると、通りの店が一部、目を覚まし始めていました。
赤福本店の開店は毎朝5時。五十鈴川を眺める席で、赤福とお茶のセットをいただいてから宿に戻りました。
早朝参拝のすすめ
早朝の内宮は人が少なく、でも集まっているのは皆、意思を持って朝を選んだ人たち。きりっとした気持ちがこちらにも移るような、みんなで気持ちよく過ごせる、心地よくありがたい時間でした。
伊勢神宮 皇大神宮(内宮)へのアクセス
伊勢神宮 皇大神宮(内宮) 御祭神 天照大御神 住所:三重県伊勢市宇治館町1 参拝時間:午前5時開門。閉門は季節による(1-4月・9月は18時/5-8月は19時/10-12月は17時) 所要時間:御正宮・荒祭宮・風日祈宮を巡って約1時間~1時間半 アクセス:近鉄「五十鈴川駅」からバス約6分、「伊勢市駅」からもバスあり *現在、神宮では20年に一度の式年遷宮の諸行事が進んでいます(令和15年に遷御の予定)
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