上野東照宮にお参りしました。久しぶりに根津の大好きな食堂でお昼ご飯を食べ、上野公園を歩いたあとのことです。気軽に訪ねてみたのですが、そこには江戸初期に建立された社殿が今もそのまま残り、思いがけない深い癒しと鎮まりがありました。
上野東照宮とは?
上野東照宮は、上野公園の中、不忍池の近くにあります。境内に入ると、公園の喧騒から急に空気が変わりました。
上野東照宮は、徳川家康公を祀る東照宮の一つで、日光東照宮の分霊を祀る神社です。
1627年(寛永4年)、家康公の側近である藤堂高虎と天海僧正によって創建されました。
江戸時代、総本山である日光東照宮は格式高い存在で、しかも当時の日光は江戸から簡単に行ける場所ではありませんでした。そのため、江戸の人々が日光まで行かずとも参拝できるよう、日光東照宮に倣った豪華な社殿が造営されたのが始まりとされます。
さらに上野東照宮は、江戸の町を守護する祈願所としての役割も担っていました。
上野東照宮はなんの神様? ご利益は?
上野東照宮の御祭神は、徳川家康公 徳川吉宗公 徳川慶喜公です。出世、勝利、健康長寿の神として、江戸の中心に祀られました。
日光東照宮は江戸城の真北に位置し、北極星と結ぶ一直線上に並ぶように設計されたという「江戸の守護」の役割を持っています。上野東照宮は、単なる参拝所を超えて、その日光東照宮の霊力を江戸市中に引き込み、江戸の町を守る重要な拠点(祈願所)、つまり「江戸を鎮める場所」でもありました。
社殿、そして唐門、透塀と、境内には、江戸時代の建築がほぼそのまま残されています。公式サイトによれば、東京大空襲の際には社殿のそばに焼夷弾が落ちましたが、不発弾だったため倒壊を免れたといいます。このことから、上野東照宮は「強運の神様」として、また家康を祭神としていることから「出世」「勝利」「健康長寿の神様」として信仰されています。
実際に歩いていると、“残った”という事実そのものが、この場所の力になっているように感じます。
上野東照宮の見どころは?
実は一つひとつの見どころが、そのまま強運スポットとしてのご利益が語られるのが上野東照宮です。石造りの大鳥居をくぐると、まず圧巻なのが、参道にずらりと並ぶ約200基の立派な石灯籠です。諸大名から奉納されたもので、正面の唐門に近づくほどに、三大名から寄進された門前の灯篭を筆頭に、さらに格式の高い銅製の灯篭が増えていきます。
唐門の左側から有料の拝観エリアが始まり、社殿は外からでも拝むことができますが、ぜひ中に入っての参拝をお勧めしたいです。
御神木の大楠:樹齢600年以上の上野の祖木といわれている御神木です。 神社創建前からこの地を見守っています。 幹の太さは8m以上で上野公園一だそうです。
唐門(からもん):1651年造営、国指定重要文化財。正式名称は「唐破風造り四脚門(からはふづくりよつあしもん)」。左右の柱には、江戸の名工・左甚五郎作といわれる龍の彫刻があしらわれています。「偉い人ほど頭を垂れることから、向かって右にある頭を下に向けた龍が昇り龍です。
社殿:1651年造営、国指定重要文化財。日光東照宮と同じく、拝殿と本殿を幣殿(石の間)でつないだ「権現造り」。外壁には13㎝角の金箔が約11万枚使われ「金色殿」とも呼ばれています。獅子や牡丹、鳳凰、家康公の力の象徴とされる鷹など、豪華絢爛な彫刻がとても美しいです。
ここで面白いのが、タヌキの存在です。
社殿の右手奥に、「栄誉権現(えいよごんげん)」と呼ばれるタヌキの神様(お狸さま)が祀られています。名前の「他抜(たぬき)」から「他を抜く」という意味に通じ、強運、試験合格や勝負事のほか、公式Xによると「チケット当選を願う方」がたくさんお参りされるそうです。
御神体はたぬきの木像。袈裟を着て上を向いて威張るような姿がすこしユーモラスです。
上野東照宮、おすすめのお守りは?
家康公の月命日である毎月17日の前後3日間限定で、昇り龍をデザインした「昇龍守」(2000円)が授与されています。数々の戦を勝ち抜いた家康公の強さ、災いから300年以上免れてきた上野東照宮の歴史にちなみ、強運・勝利・出世のお守りとして「一人1体限定」というほど、人気があります。
先ほどの、御狸様の必勝、出世、受験・就職成功祈願の「他抜守」や御朱印もありました。
なぜ上野東照宮は落ち着くのか
上野東照宮の拝観エリアを進むうちに、長い時間の中に溶けていくような落ち着いた感覚に包まれていきました。
森の緑や石灯籠のかげの中で見ると、金箔はぎらぎらと輝くのではなく、静かに沈みながら光っています。天災や戦災を越えてきた長い時間が、灯籠の石や、社殿の金色に含まれている。ここだけ、“江戸の時間”と地続きなのです。
権力の象徴というイメージしかなかった金色ですが、“時間を超えたい”という人の願いそのもののようにも感じられました。
上野公園の中にいるはずなのに、空気や時間や身体感覚が切り替わっていく。鬼門を封じ、水を整え、社寺を配置し、森を残し、祈りの場を作ることで、“都市全体の気を安定させる”という発想がいまも生きていると感じました。
上野東照宮へのアクセス
上野東照宮 御祭神 徳川家康公 徳川吉宗公 徳川慶喜公 住所:東京都台東区上野公園 9-88 アクセス:JR 上野駅公園口/東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分 京成上野駅から徒歩12分 開門時間:冬季(10-3月):9:00-16:30(授与所・有料エリアは9:30-16:00) 夏季(4-9月):9:00-17:30(同9:30-17:00) 拝観料:大人700円、小学生300円、未就学児無料、20名以上の団体600円 ※2026年4月から、これまで有料の動物園エリアにあった旧寛永寺の五重塔が、 東照宮の参道から無料で拝観可能になりました

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