熊野三山の奥宮・玉置神社とは?
「呼ばれた人しかたどり着けない」と言われる、熊野の奥宮、玉置神社。伺うことになったのも、まさに人生の転機を迎えた頃でした。玉置神社が最強のパワースポットといわれる理由、見るだけでも気が引き締まる御札、そして参道から本社、大杉の前で感じたご神気ーーその体験をお伝えします。
修験の聖地に立つ、熊野の奥宮
玉置神社は、奈良・吉野から熊野まで続く大峰山脈の南端、標高1076mの玉置山の山頂近くに鎮座しています。熊野三山の奥の院として栄えた修験道の重要聖地であり、役行者が8世紀に開いた修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」にある第10行場にあたります。弘法大師も訪れたと伝えられ、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。
「熊野に行くなら必ずここへ」と友人に勧められ、調べてみると、歩いて登るだけでも間違いなく修行。急な山道が続き、呼ばれた人しかたどり着けないという言葉の意味がわかります。
実際に向かう山道の途中では、2羽のキセキレイが車の前を飛び、カーブのたびにこちらを振り向いてくれました。最後は急な崖の下に街が見え、ドキドキします。
玉置神社が最強パワースポットと言われる理由は?
御祭神の本社には、五柱の神々が祀られています。
国常立尊(くにとこたちのみこと)
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
伊弉冊尊(いざなみのみこと)
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)
さらに摂社・三柱神社、末社・若宮社、神武社、玉石社などをあわせると、15柱の神々がいらっしゃいます。
駐車場から鳥居をくぐった瞬間、空気が一変しました。山上ならではのひんやりとした霧が立ち込め、まさに神域に迎え入れられたようです。杉林の参道を20分ほど進むあいだ、静けさの中に確かな気配を感じます。
3万平方メートルにおよぶ境内には、樹齢3000年といわれる神代杉をはじめ、常立杉、大杉などの巨樹が並びます。聖域として伐採が禁じられていた聖域ゆえの生命力。次々と目に入ってくる杉1本1本の存在感。特に一番大きな杉は、周囲11m・高さ約50m。夫婦杉もいらっしゃいました。
玉置神社はパワースポットである、といわれる理由がわかりましたが、そんな言葉では語り尽くせない圧倒的な雰囲気です。杉の前では、居合わせた隣の人との間に思わず会話が生まれました。大きなものの前で思わず言葉を交わしてしまう心の解放、これもご利益だと、あらためて感じました。
玉置神社の御札とは?
玉置神社の伝説ーー神武天皇が御東征の時、八咫烏の案内でこの地に降り立ち、「十種神宝(とくさのかんだから)」の「玉」を置いて武運を祈願されたというお話が、玉置神社の名前の由来です。創立は紀元前37年、第十代崇神天皇のときに、「火防鎮護・悪魔退散」のために建立されたと伝わります。
さらに、玉置権現が白木の弓を射て、悪魔を調伏したという伝説に基づき、秋の例祭・元日・春祭の3度だけ行われる神事「弓神楽」が今も受け継がれています。境内にはそのご利益を伝える歌の説明がありました。
熊野なる 玉置の宮の弓神楽 弦之音すれば悪魔退く
社務所には、悪魔退散の御利益をもつ御札やお守りが並びます。紙と木で作られ、お財布に収められるお守りの人気があります。中でも御札(護符)は、貼られている見本からだけでも強いパワーが伝わってきて、引き寄せられるように御札をいただきました。
社務所と台所は文化元年(1804年)の建立。神仏習合だった江戸時代末期、玉置神社の別当寺・高牟婁院の主殿と庫裏として建立されたもので、 神仏分離後は社務所・台所および参籠所として使われ、いまは国指定有形重要文化財に指定されています。残念ながら2025年10月の訪問時は修復工事中で、その姿を拝むことはできませんでした。
玉置神社に呼ばれると人生が変わる?
玉置神社の本殿参拝のあと、山頂まで続く道をたどると、白い石が敷かれた中に神武天皇が鎮めたと伝わる「玉石」が祀られています。これが玉置神社の名前の由来となった「玉石社」です。修験者は、まずここからお参りするそうです。
さらに進むと、枝ぶりが龍のような姿になっている「龍木」が現れます。龍神様を祀るこの地で手をあわせ、静かに山道を降りました。
玉置神社は、山岳信仰における「水を司る龍神」の鎮まる地でもあります。確かに霧に包まれる湿潤な空気の中、だんだん水中にいるような感覚に包まれました。聖なる山の気と水を体いっぱいに受け取るーーそんな時間でした。
都会で慌ただしく過ごす日々の中でも、あの霧に立ち込めた杉林にいた時の体の感覚を思い出すと、不思議と心が静まり、不安がすっと溶けていきます。
「呼ばれると人生が変わる」といわれるゆえんを、今は深く実感しています。
玉置神社 御祭神 本社 国常立尊・伊弉諾尊・伊弉冊尊・天照大御神・神日本磐余彦尊 三柱神社 倉稲魂神・天御柱神・国御柱神 若宮社 八幡大神・春日大神・住吉大神 神武社 速玉男神・迦具土神・高倉下神 末社・玉石社 大巳貴命 住所:奈良県吉野郡十津川村玉置川1−1 アクセス: JR奈良駅から車で京奈和自動車道五條IC、R168 約3時間30分 世界遺産予約バス(完全予約制:4月〜11月末までの土日祝) 開門時間:境内自由/正式参拝、祈祷の受付は、8:30~15:30 電話:0746-64-0500

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