「日曜日、大山に登らない?」。ある水曜日、散歩友だちからLINEが。大山と言えば山岳信仰、紅葉ライトアップ、そして前から気になっていた大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)がある場所です。
江戸時代から続く大山詣り、雨乞いの神としての雨降山信仰。そんなイメージで気軽に向かうとーーそこは想像をはるかに超える“充電の地”でした。
大山阿夫利神社は紅葉の季節、どのくらい混雑する? 交通事情
大山阿夫利神社を訪れたのは紅葉シーズン、ライトアップの期間、それも晴天の週末でした。混雑を覚悟して行きましたが、実際には「混んでいるけれど、意外にスムーズ」という不思議な流れ。まずは行ってわかった動き方をまとめてみます。
1.小田急線:お得な割引がついた「丹沢・大山フリーパス」を発見。新宿ー伊勢原の往復や、バス、ケーブルカー等がセットになっていました。単純計算で710円お得だそうです。スマホで前夜でも購入可能。ロマンスカーは、伊勢原駅行きは満席でも、2駅手前の本厚木駅に停まる列車には、前夜でも意外に空席がありました。
2.トイレ:伊勢原駅改札前は大行列。駅員さんに聞いたら、1階バス乗り場にもトイレがあるとのことで、行ってみたら誰もいませんでした。
3.直行バス:黄色い神奈川中央バスが大活躍。座りたい人は15分ぐらい待てば次のバス、急ぐ人は立ち乗りOKならすぐに乗れました。帰りは増便されていて、1台見送れば座って帰れました。
4.ケーブルカー:ここだけは大混雑で、40分待ちという看板が。大山阿夫利神社下社までは歩いて同じ40分というので、思い切って歩いて登ることにしました。
大山阿夫利神社のご利益と歴史。歩いて登るとご利益が増す?
公式サイトによると、大山阿夫利神社の創建はなんと約2200年以上前、「崇神天皇の頃」。平安時代中期の「延喜式神名帳」にも名を連ねる式内社で、古くから「あめふり山」とも呼ばれる、山岳信仰の地として、雨乞いや五穀豊穣を祈願する所でした。奈良時代以降は神仏習合の霊山となり、武家政権下では武運長久の祈りの地に。
江戸時代には年間20万人を超える人々が「大山詣り」を行った大人気の場所。確かに、バスを降りて実際に歩いてみると、そのにぎわいの歴史に納得します。坂道と階段はなかなかの手応えですが、両脇には奉納柱やお店が続き、山岳信仰の地というより、生命力あふれるお詣りの道。にぎやかで明るい雰囲気でした。
御祭神はーー
大山祗大神(おおやまつみのおおかみ):富士山の御祭神「木花咲耶姫」の父
大雷神(おおいかづちのかみ):日本書紀に記されている雷の神様。火災や盗難除けの神、この地では大天狗としても祀られる
高龗神(たかおかみのかみ):日本書紀に記されている水神様。雨にまつわる祈りの対象として、またこの地では小天狗としても祀られる
富士山と大山、両方を詣でる「両詣り」が盛んだったのも興味深いです。
ーーさて、歩いて登ることにしたのですが、最初の5分ですでに驚きを隠せません。すごい勾配です。ケーブルカーが作られるぐらいだから、そうなのか、と歩き始めてから気づきました……。が、実は途中の大山寺までは30分もかからないくらい。しかも、下から登る大山寺の紅葉はとても美しく、最初のご利益をいただいたような気持ちになりました。
そこからなんとか最後の力を振り絞って、下社まで上がります。上からは転がり落ちそうな感じでステッキを2本ついた方々が降りてきます。この勾配を降り続けるのはしんどそうです。どちらかを歩けと言われたら、自分は上りをゆっくりと歩き、下りはケーブルカーにするのが消耗が少ない気がしました。
パワースポット、大山阿夫利神社のご神水。お守りはどれにする?
やっと大山阿夫利神社下社への山道が終わったと思ったら、まだ境内までの長い階段があります。でも、その階段を登り切り、下社の鳥居をくぐった瞬間——空気が変わりました。
高い場所特有の、清らかな風。青空の下、遠く江ノ島や相模湾までがよく見えました。江戸の守り神の視点とは、こういうものか……と神妙な気持ちになりました。
境内奥には、湧き水がある場所が。持参、または購入したペットボトルに水を汲んで帰ることができます。まずここでやわらかいお水のパワーをいただきます。
お守りの種類の多さも、大山阿夫利神社の楽しいところです。特にフクロウをモチーフにした「福籠守」が人気ですが、私はふと目にとまった「納太刀守」をいただきました。小型のお財布サイズと、飾れるような少し大きめのものがあり、大きい方に。源頼朝公が刀を納めたことに由来し、運を切り開き、厄を断ち切るとされています。
大山阿夫利神社にタモリさんが? おすすめの食べ歩きは?
さて、大山阿夫利神社のお守りを買いながらも気になっていたのが、お守りが並ぶ棚の右側のモニターで流れていた「ブラタモリ」大山詣りの特集でした。2025年7月の放送回で、タモリさんがまさに私たちと同じ道を歩いていました。
大山阿夫利神社と太刀の関係、大山詣りが栄えた理由、地形の秘密…。ベンチに座ったまま見ているだけで、目に映る景色の意味がどんどん立ち上がってきて、思わず前後編を通して見てしまいました。これは本当におすすめです。
下社の坂で上社登拝は断念し、下山しながらの食べ歩きモードへ。
境内のテントで売られていたもみじ汁(豚汁=300円)には、名物の豆腐がたっぷり。境内のテーブルでいただくことができ、お祭り感がありました。
階段のそばには、この地の水を使って創業したというAFURIラーメンの店が。さすがの長い行列にこれも断念して、スープを試食。
少し降りたお茶屋さんで、香ばしい焦げ目に惹かれて、味噌団子を(350円)。さらにこま参道のTAWATAWA STANDで相模豚のルーロー肉とそのタレで煮詰められた阿夫利豆腐がのった「肉とうめし+煮卵トッピング」(1030円)を。どちらも、最高でした…。
下山後は、伊勢原駅となりの鶴巻温泉駅から歩いてすぐの「弘法の里湯」へ。広々とした気持ちのいい温泉でした。
神社にお詣りをして、お守りをいただき、山の水を飲み、道中でおいしいものを食べて、最後に温泉で締める。。。なぜ自分はこんなにお参りとお風呂が好きなのか、ずっと言語化できていませんでしたが、これが江戸の庶民が愛した大山詣りの楽しみ方だったのだ、と、全身で腑に落ちました。
大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ) 御祭神 大山祗大神 大雷神 高龗神 住所:神奈川県伊勢原市大山355 TEL 0463-95-2006(受付時間 9:00~17:00) アクセス:小田急線伊勢原駅 北口からバスで約25分 〜参道(徒歩15分) 〜ケーブルカー 大山ケーブル(山麓駅)ー阿夫利神社(山上駅)徒歩

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