お天気のいい土曜の午後、仕事のご利益で知られる神社に行こうと思い立ちました。出世したい、という気持ちではありません。自分の仕事人生、これでいいのか……そんなモヤッとしたものを祓いたいと、代々木八幡宮に伺いました。
代々木公園駅から歩いて5、6分。車の多い山手通りにまわり、鳥居の石段の前に立ちます。都心の大きな通り沿いに、急に緑の多い入り口が開いています。
代々木八幡宮とは?
石段を上り、参道が始まったところで音が切り替わりました。車の走る音が引き、代わりにセミの声が急に響きます。森の中に入ったような、というより昔の日本にふっと瞬間移動したような空気が流れています。
鳥居の手前で、奥に見えている参道よりも自然に体が向く道がありました。まずは参拝をと、そこは見送って先を急ぎます……あとでわかったのですが、その最初に気になった道が縄文の住居跡へ続く入口でした。
鳥居をくぐると、頭上の木立がさらに濃くなり、なんとなく緑のトンネル風になります。異界に続くような感覚が一段と強まりました。そのまま進むと本殿の前で並木が途切れて急に明るく、お迎えいただいた気持ちになりました。
代々木八幡宮の御祭神は?
代々木八幡宮の御祭神は応神天皇です。天照大神と白山大神が配祀されています。
創建は建暦2年(1212年)。公式サイトによれば、鎌倉幕府二代将軍・源頼家の側近に仕えた武士、荒井外記(げき)智明(ともあきら)が、頼家の暗殺後にこの地へ隠棲し、主君の菩提を弔って暮らしていたところ、八幡大神の託宣と宝珠の鏡を夢の中で感得し、鶴岡八幡宮を勧請して小さな祠を建てた。それが始まりと伝えられています。
出世運で名前を聞く神社ですが、始まりは一人の武士が主君を弔うために建てた祠でした。
代々木八幡宮のご利益は? 出世稲荷はどこに?
代々木八幡宮のご利益は、応神天皇への武家からの信頼が篤かったことから、出世・仕事運、とくに「厄除開運」の神=八幡さまとして、全国で祀られています。
本殿の右手奥には、境内社の並ぶ一角があります。稲荷社・天神社・榛名社の合祀殿を過ぎた、いちばん奥が「出世稲荷大明神」。拝殿から参拝し、合祀殿を経て最後に出世稲荷へ、という順で回る方が多いようです。
ここでは、真剣な面持ちの男性が多く目に入りました。皆さん、しっかりとお参りされていかれる。膝をつき、祈りの言葉をささっと唱えている人もいました。
境内でいちばん人の気配が濃い一角でした。
出世稲荷の由来は、戦災で焼けた氏子地域のお稲荷さんを、戦後この地に集めて合祀したものと伝えられています。
一番奥には富士登拝の碑が立っていました。かつて近隣にあった富士塚の名残だそうです。
代々木八幡宮の境内に、縄文の住居跡が?
最後に、竪穴式住居を見に行きました。手前に大きな御神木があり、参拝者が次々に幹へ手を置いていきます。木を傷める気がして、置きませんでした。
その奥に突然現れる、竪穴式住居。一瞬、驚きます。ただ、緑の深さのせいか、驚きよりも時を遡る感覚のほうが早く来ました。はるか昔から、ここが住むのに気持ちのいい場所だったことが、体でわかります。
代々木八幡遺跡は1950年に発掘されたもので、渋谷区の史跡に指定されています。出土したのは縄文時代中期の住居跡で、およそ5000年前のものと説明されています。神社のある丘陵地に多くの人が集まり、集落を作って暮らしていたことが想像されます。
地域ではお散歩コースなのか、ベンチに座って木々を見上げている人も多くいました。ゆったりと一人で過ごす時間を大切にしている人のための場所、という感じです。
代々木八幡宮 人気の授与品は
社務所には、提灯型の金魚守が揺れていました。
「金の魚」ということで、金運・財運につながり、穢れを洗い流し、禍を祓う霊力が宿るとされ、5月の第4日曜日の金魚まつりで頒布される人気のお守りです。
このほか、勾玉や水晶を使った縁結びのお守りなど、親しみやすいカラフルな授与品が並んでいます。
出世運の神社と聞いて少し緊張していたので、この雰囲気は意外でした。
私は、御朱印をそのままデザインした、珍しい形の小さな御朱印守りをいただきました。携帯に貼るとご利益があるそうです。
「お守りを一番身近にしていただくのと同時に、携帯に来る悪い知らせを祓い清め、大切な情報を守ってもらう御守です」という説明にもほっとします。
仕事の結果が出ない時期に、自分を励ましに行く場所。あまり急いで答えを出したくない時には、この境内をめぐる時間の長さや、このあたたかみがちょうどよく効く感じがしました。
代々木八幡宮から明治神宮まで歩ける?
代々木八幡から明治神宮の西参道までは、代々木公園沿いに15分ほどで歩いていける距離です。大きな杜と小さな杜を一日で歩くのは、その意外な近さも手伝って、ちょっと充実したお散歩になりそうです。
といいつつ、この日の帰り道は、近所に住む友人おすすめの台湾粥のお店「押競満寿(おしくらまんじゅ)」へ。代々木八幡駅のすぐ近くです。お粥セットをいただき、ほっこりして帰りました。
代々木八幡宮へのアクセス
代々木八幡宮 御祭神 応神天皇(配祀:天照大神・白山大神) 住所:東京都渋谷区代々木5-1-1 アクセス:小田急線 代々木八幡駅/東京メトロ千代田線 代々木公園駅から徒歩約6分 参拝時間:参拝自由 社務所受付時間:9:00~17:00(祈祷は16:30まで)


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