二見興玉神社から、外宮へ――。
電車に乗って15分ほど、伊勢市駅に降り立つと、駅前からにぎやかに店が並ぶ参道が始まります。午前中だったこともあり、周囲の人たちもまっすぐ外宮へ進みます。歩いて5分ほどで外宮前の大きな交差点に着くと、不思議と視界が開け、空気が明るくなったように感じました。
お伊勢参りの始まりの場所、伊勢神宮 外宮。
なぜ伊勢では、まず外宮から参拝するのでしょうか。
伊勢神宮 外宮はなぜ、最初に参拝するの?
外宮の正式名称は豊受大神宮(とようけだいじんぐう)。
御祭神は豊受大御神(とようけのおおみかみ)です。内宮の御祭神である天照大御神の御饌都神(みけつかみ)――「食事」を司る神様です。
478年(雄略天皇22年)、天照大御神が
「自分一人では食事が安らかにできない。丹波の国から豊受大御神を呼び寄せてほしい」
と夢枕に立ったことが、外宮の始まりと伝えられています。
伊勢神宮では古くから「外宮先祭(げくうせんさい)」という習わしがあります。伊勢神宮の神事はまず外宮から始まり、その後に内宮で行われます。食事の神様である豊受大御神にまずお供えをしてから、中心となる神事(内宮)へとのぞむという考えに基づいています。
かつて徒歩で伊勢を目指していた時代、伊勢に入るとまずたどり着くのが外宮だったという、地理的な理由もあったといわれています。
現在も参拝者数は内宮が外宮を大きく上回ります。2025年の年間参拝者数は、内宮が約505万人、外宮が約266万人。多くの人が内宮を目指しながら、その半数ほどが外宮にも足を運んでいることになります。
それでも伊勢では、「外宮から」という順番が大切にされ続けています。
参拝は、まず表参道から。
火除橋をわたると、左手に清流がたたえられた勾玉池が現れます。心が内側へと切り替わり、ゆっくりと、意識が静まっていくのを感じます。
外宮の御垣内にある御饌(みけ)殿では、今も毎日、朝と夕の二度、神々に神饌を供える「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」が続けられています。米、酒、海の幸、山の幸――あらゆる恵みが静かに捧げられている場所です。
正宮(豊受大神宮)では、こうした恵みある日々への感謝と報告、さらには国や世界など大きなお願いごとをするのがよいとされます。
仕事、生活、家族。心に浮かんでくることをそのまま感謝と共に味わい、平和への感謝と祈願を捧げました。
伊勢神宮 外宮と内宮の違いとは?
伊勢神宮は内宮と外宮を中心に、別宮・摂社・末社・所管社を含めた125の宮社から成り立っています。
「内」とは天皇を意味する言葉で、皇大神宮――つまり内宮の御祭神・天照大御神が皇室の御祖神であることから「内宮」と呼ばれます。太陽と国家を象徴する公の神です。
それに対し、かつて内裏の外にある離宮を「外」と呼んでいたことから、外宮と呼ばれるようになったともいわれています。奈良時代にはすでに「外宮」という名が記録に残っています。
実際に参拝すると、外宮はとても簡素で、さらりと終わってしまうため、戸惑うほどです。けれど不思議と気持ちが落ち着いて、「準備が整った」という感覚が残ります。
外宮は、やっと伊勢にたどり着き、まずは日々の営み・食・働くことを司る神に感謝し、自分の足元を整える場所。背筋が伸びる、頭が静かになる、内側に意識が戻る感じ。気合を入れるというより、余計なものを置いていく――そんな位置づけの場所だと感じました。
このほか、外宮は左側通行、内宮は右側通行と決まっていたり、建築にも違いがあります。
屋根の両端で交差している千木(ちぎ)は、外宮が垂直切り、内宮が水平切り。
屋根の上に横向きに並ぶ鰹木(かつおぎ)の数は、外宮が奇数、内宮が偶数。
細部にまで、役割の違いが表れています。
伊勢神宮 外宮・別宮の周り方は?
伊勢神宮・外宮では、まず正宮で感謝を伝えた後、別宮を巡るのがおすすめです。別宮のお話はまた後日にお届けします。
多賀宮
外宮で最も格の高い別宮。豊受大御神の荒御魂を祀り、力強い場所
土宮
土地・基盤を司る神
風宮
風雨と自然の循環を司る神
別宮も、お願いをするというより、自分の状態を確かめる場所のように感じられます。ここまでで、ゆっくり歩くと1時間ほど。
参拝後は、外宮近くの別宮 月夜見宮へ足を延ばすのもおすすめです。
外宮参拝のあとにおすすめの伊勢うどんは?
お伊勢参りといえば、伊勢うどん。お参りの後にはぜひ、外宮から歩いて20分ほどの人気店「つたや」さんへ。地元の方々も注文している焼豚伊勢うどんは、まさに外宮の「食」の恵みをそのままいただけるような、お腹も満たされる味でした!
外宮は、とてもシンプルな光に満ちた場所。
伊勢参りの最初にここを歩くことで、内宮に参拝する心身が照らされ、先に進む準備が自然と整っていく――そんな時間をいただいて、いよいよ内宮へと向かいます。
伊勢神宮 外宮 御祭神 豊受大御神 住所:三重県伊勢市豊川町279 アクセス:近鉄・JR伊勢市駅から徒歩約5分 参拝時間: 1月-4月・9月 5:00~18:00 5月-8月 5:00~19:00 10月-12月 5:00~17:00 周辺混雑情報: らくらく伊勢もうで伊勢へお越しの際に便利な交通情報ページです。


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