熊野本宮大社の八咫烏(ヤタガラス)は怖い? ご利益と最強のお札とは?

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熊野本宮大社といえば、八咫烏(ヤタガラス)。
名前や姿から、ちょっと怖いイメージがあったのですが、実は三本足の神鳥として知られ、「導きの神」の象徴でもあります。今回は世界中から人が集まる熊野本宮大社と八咫烏との関係、ご利益とお参りの順番、さらに熊野本宮大社を代表するお札・牛王神符について、実際に熊野古道を歩いて参拝した体感も交えながらご紹介します。

後編では、熊野信仰の原点ともいえる「大斎原(おおゆのはら)」を深く味わいます。

熊野本宮大社とは?

熊野本宮大社は、和歌山県田辺市本宮町に鎮座する、熊野三山の一社、全国に4700社以上ある熊野神社の総本宮です。

御祭神は、熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)に共通する「熊野十二所権現」と呼ばれる十二柱の神々。その中心となる主祭神が、家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)で、神話では素戔嗚尊(スサノオノミコト)と同一視されます。

熊野信仰はもともと山・川・森といった自然そのものを神とするものでした。奈良~平安時代に仏教や修験道と結びつき、熊野は「神と仏が一体となる聖地」として発展します。奈良時代にはすでに神仏習合が取り入れられ、御祭神には仏名も配されるようになりました。

平安時代から鎌倉時代にかけては、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社をめぐる参詣の形が定着します。特に中辺路は上皇たちが何度も歩いた公式参詣道として知られます。

やがて熊野は、浄土へ赴き、再びこの世へ帰る場所──「死と再生」「よみがえり」を象徴する地と捉えられるようになりました。

実際に中辺路の「発心門王子」から約7キロ、途中でお茶をしたり、麓に大鳥居を眺めたりしながら歩いてみると、約2時間ほどで熊野本宮大社にたどり着きます。よみがえり…という言葉の厳かな意味合いとは別に、あたりはどこか朗らかな空気に包まれていました。

印象的だったのは、しっかりと歩く装備をしたたくさんの外国人参拝者がとても多いこと。途中のお休み処でも、道中でも、聞こえてくるのは英語、台湾語、スペイン語、タイ語・・・。日本語を話す人がほとんどいなくて、不思議な感覚になります。

熊野本宮大社の八咫烏とは?

熊野本宮大社に着き、鳥居を見上げると、3本の足を持つ神鳥、八咫烏の印が中央にあります。

八咫烏は日本神話において、神武天皇を熊野から奈良・橿原まで道案内したとされ、熊野三山に共通する導きの神として信仰されてきました。

八咫烏の「八咫」とは大きく広いという意味。八咫烏は太陽の化身であり、三本の足は天・地・人をあらわす、といわれています。八咫烏は『古事記』『日本書紀』『延喜式』をはじめ、 キトラ塚古墳の壁画や、世界最古の油絵である玉虫厨子(法隆寺蔵) の台座にも描かれています。

日本サッカー協会のエンブレムも八咫烏です。神武天皇の故事になぞらえ、 ボールをゴールに導く存在として選ばれたといわれています。今も日本代表選手や関係者が必勝祈願に訪れています。

熊野本宮大社のお参りの順番

熊野本宮大社に入ると、杉木立に囲まれた158段の石段が現れます。
参道の途中、まず祓戸大神にお参りし、身を清めます。
その後の正式な参拝順は次の通りです。

証誠殿(本宮)|家都御子大神/スサノオノミコト(阿弥陀如来): 第三殿・来世を司る
中御前(結宮)|速玉大神/イザナギノミコト(薬師如来):第二殿・前世を司る
西御前(結宮)|夫須美大神/イザナミノミコト(千手観音):第一殿・現世を司る
東御前(若宮)|天照大神(十一面観音)
満山社|結ひの神(八百萬の神)

境内でも楽しそうに参拝の順番を確かめる人たちの姿が目につきます。神仏習合も相まって、お参りするうちに自由な気持ちになっていく。熊野には、そんな解放感があります。

熊野本宮大社で頂きたい、最強のお札とは?

熊野本宮大社を象徴するお札が、熊野牛王神符です。
八咫烏をかたどったカラス文字で描かれ、ひと目で強い印象が残ります。

牛王神符は、単なる護符ではなく、神に誓いを立てるための誓約書として用いられてきました。裏面に誓いを書き、神前に供える、あるいは契約の証として相手に渡す。
誓いを破れば神罰があると信じられていたーーその重みが自然と伝わってきます。

1月7日に行われる「八咫烏神事」と牛王神符

熊野本宮大社では、毎年1月7日に「八咫烏神事」が行われます。
この神事では、その年に授与される牛王神符に用いられる印が新たに作られ、参拝者には白い紙に押された印が分けられます。人数に限りがあるそうですが、タイミングが合う方はぜひお出かけください。

年のはじまりに、八咫烏の導きの力をあらためて神前で整え、その印をもって一年の誓いを託す。牛王神符がただありがたいお札なのではなく、この場所に導かれて生まれた、「その年の覚悟を引き受ける証」とあることが、深く実感できます。

ーー次に向かうのは、大鳥居の奥に広がる大斎原。
かつて神々が鎮まっていた、熊野の原点ともいえる場所です。
後編では、この大斎原の歩き方と、そこで感じた熊野の力をお伝えします。

熊野本宮大社
御祭神
 家津美御子大神(スサノオノミコト)

住所:和歌山県田辺市本宮町本宮
アクセス:
名古屋からJR特急「ワイドビュー南紀」で新宮へ約210分、
 新宮駅から路線バスで熊野本宮へ約60分
新大阪からJR特急「くろしお」で紀伊田辺駅へ約130分、
 紀伊田辺駅から路線バスで熊野本宮へ約120分
参拝時間:7:00−17:00ごろ
社務所や授与所の受付時間は8:00~17:00ごろまで

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