根津神社の不思議な魅力とは? ご祭神は?ご利益は? おすすめのおみくじは? ーー300年続く江戸の風景の中で感じたこと

東京

朝、早起きして根津神社に行きました。
春にはつつじが美しいことで知られていますが、それ以外の知識はほとんどないままです。

境内に入ってすぐ、少し戸惑いました。
静かで、整っていて、歴史も感じられる。なのに「都心の神社」の安心感とは、どこか違う。
あとから考えると、その違和感が根津神社の核心なのだと思います。「怖い」と感じる人もいるようですが、背景を知るとその印象にも納得がいきます。その不思議な魅力の源を探ります。

根津神社とは?

根津神社の創建は、今からおよそ1900年前と伝えられています。公式サイトの御由緒には、こう記されています。

今から千九百年余の昔、日本武尊が東夷征定の途次、武神・須佐之男命の御神徳を仰ぎ千駄木の地に創祀したと伝えられる古社で、文明年間(1469~87)には太田道灌が社殿を奉建しています。

神仏習合の時代には、「根津権現社」と呼ばれ、素盞烏尊(本地:十一面観音菩薩)を中心に、相殿に山王大権現、八幡大菩薩を祀る「根津三社大権現」と呼ばれて信仰を集めていました。

ーー時間軸の目盛りが数百年単位で進んでいく感じです。

根津神社の境内を歩いていて、もう一つ強く感じたことがありました。
それは「手が入っていない」という感覚です。

根津神社は都心の神社には珍しく、江戸時代の社殿配置がほぼ完全な形で残されています。
宝永3年(1706)に完成した、権現造りの本殿・幣殿・拝殿をはじめ、唐門、西門、透塀、楼門までが欠けることなく現存し、国の重要文化財に指定されています。

しかも、遠くから眺めるのではなく、実際にくぐったり間近で眺めたりすることができます。320年前の景色が、目の前に広がっていることに、不思議な気持ちになりました。

江戸の神社であれば、火災、震災、戦災、都市開発……どこかで形が変わっていても不思議はありません。でも根津神社は「復元」でも「再現」でもなく、ただ、残っている。

朱塗りの楼門は鮮やかなはずなのに、華やかというより剛健さが先に立ちます。境内は広いのに、開放的というより、ぴんと引き締まった空気が漂っていました。

根津神社の御祭神は?

根津神社の御祭神は、

須佐之男命(スサノオノミコト)  防災防疫の神、軍神、豊穣の神
大山咋命(オオヤマクイノミコト) 山の地主神、農業・醸造の神
誉田別命(ホンダワケノミコト)  文武の神

相殿として、
大国主命(国造り・縁結び)
菅原道真公(学問の神)
も祀られています。

なるほど、このどうもごついというか、いかついというか、清々しくも筋肉質な感じがしていたのは、スサノオノミコトのエネルギーなのか、と腑に落ちました。

なぜ、ここだけが「江戸のまま」なのか?

根津神社は、五代将軍・徳川綱吉の兄である甲府中納言・徳川綱重の屋敷地に建てられ、六代将軍・徳川家宣が生まれた場所でもあります。

将軍家ゆかりの神社であり、正徳4年(1714)には、江戸全町から山車が出る「天下祭」も行われました。現存する3基の大神輿は、そのときに家宣が奉納したもの、と伝えられています。

それでも根津神社に実際に立ってみると、格式や権威を前面に押し出す感じは、あまりありません。

人を集めるためでも、華やかさを競うためでもなく、江戸という都市の一角で、黙々と役割を果たしてきた場所。だからこそ、変わる理由がなかったのかもしれません。境内には、静かな迫力が満ちていました。

根津神社のご利益は?

朝の根津神社で、もう一つ印象に残った光景があります。
本殿と駒込稲荷神社で、一人、長く祈る男性の方が多かったことです。

拝殿の前に立ち、軽く頭を下げ、そのまましばらく動かない。
お願いごとを口にしている雰囲気とも、少し違います。何かを確かめているような佇まいでした。

江戸の大火、関東大震災、東京大空襲――東京が何度も壊滅的な被害を受けてきた中で、根津神社が大きな被害を免れてきたことから、厄除け・災難除けのご利益が強いと語られています。本殿の手前には、まわりをぐるりと絵馬で囲まれた御神木「願掛けカヤの木」もありました。

根津神社のおみくじとは?

根津神社には、「打出の小槌」を振って引くおみくじがあります。
箱から引く一般的なおみくじもあり、私はそちらを選びました。

引いたのは末吉。書かれていた言葉は、驚くほどシンプルでした。

「信じやすい」「人との距離を、もう一度確かめよ」。そんな意味を受け取った感覚は残っていますが、大きな励ましも、劇的な予言もありません。

境内の空気と同じように、まっすぐ、自分の足元に戻される感じ。あとでもう一度読もう、と思ってポケットに入れたはずのおみくじは、そのまま消えてしまいました。

何かとても強い場所に行ってきたような感じだけが残る参拝でした。

320年間、この配置のまま立ってきた場所に、一瞬立つ。それだけで、不思議と自分に戻ってきた感覚に満たされ、根津神社をあとにしました。

根津神社
御祭神
 須佐之男命
 大山咋命
 誉田別命

住所:東京都文京区根津1-28-9
アクセス:
 東京メトロ千代田線 根津駅・千駄木駅
 東京メトロ南北線 東大前駅より 徒歩5分
 都営三田線 白山駅より徒歩10分
開門時間:
 社務所受付:9時~17時
 御祈祷受付:9時30分~16時(季節により変更)

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